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CREATIVE.NOTES / SYSTEMS · RELEASE

2026.09.11 / RELEASE

Windows の音を、本当に手元へ

Windows Fader Bridge と UAD Console Bridge を正式リリース

Avid S3 で Windows のオーディオデバイスとアプリを操作している実機写真

PC の中で鳴る音は増え続けていますが、その操作は今も画面の小さなスライダーに閉じ込められがちです。ブラウザーだけを少し下げる、プレーヤーを調整する、配信や会議で入力を切り替える。単純なことでも、まず正しい画面を探さなければなりません。

これは音楽家だけの問題ではありません。日常、配信、会議、制作、スタジオに共通する願いがあります。コントローラーに触れたら音がすぐ変わり、ソフトウェア側の変化もフェーダー、ランプ、メーターへ戻ってくること。Windows Fader Bridge は、その素朴な願いから始まりました。

01 / WINDOWS AUDIO

デスクトップに散らばる音を、見通しのよいチャンネルへ

二つの独立した接続方法を用意しました。EUCON 版は Avid S3 や Avid Control などへ、Mackie Control 版は MIDI を通じて MCU モードのコントローラーへ接続します。どちらも Windows のメイン出力、入力機器、音を出しているアプリを安定した論理チャンネルとして整理します。

フェーダーは音量、ノブはパン、Mute、Solo、選択、メーターは双方向に同期します。アプリの起動や終了で一覧が変わっても、フェーダーに触れている最中に対象が別のアプリへ飛ぶことはありません。内部の仕組みが最後に目指すのは、ただ一つの自然な感覚です。いま何を操作しているかを、道具が理解していること。

02 / UAD CONSOLE × EUCON

長く待ち続けた操作方法が、ようやく現実になった

UAD Console は長年、私の制作環境の中心にあります。しかし公式文書で案内される Console のパラメーター操作は今もマウスとキーボードが中心で、EUCON から Console へ直接つながる制御経路はありません。画面上のフェーダーやノブはよく知っているのに、いつもマウス越し。Apollo のソフトウェアミキサーを物理サーフェスへ持ち出すことは、何年も前からの夢でした。

UAD Console Bridge for EUCON は、その夢を形にします。チャンネルフェーダー、モノ/ステレオのパン、Mute、Solo、センド、入力プリアンプ、UNISON と Inserts、コントロールルーム、メーターを EUCON が理解できる構造へ配置しました。値は dB や Hz など実際の単位で示し、タッチ、回転、ページ移動、状態の戻りを Console とできる限り対応させています。

音声処理はこれまで通り Apollo DSP と UAD Console が担い、ブリッジは操作とフィードバックに徹します。目的はソフトウェアを遠隔操作するだけではありません。フェーダーを動かせば変化が聴こえ、ノブを回せば値が見える。手と目と耳を、ひとつの制作の流れに戻すことです。

03 / THE MAKING

難しかったのは、一度だけ動かすことではない

初期の試作でも音量はすぐ変えられました。時間を要したのは、一度の成功を毎日使える体験へ変えることです。操作が終わるまでフェーダー値を送らない、負荷のためにメーターをわざと遅らせる、戻り値が触れているモーターフェーダーを押し返す——そのどれも許されません。再接続、アプリの増減、ドライバー更新、起動順も、毎回の再起動を要求すべきではありません。

そこで連続操作と構成変更を分けました。音量、パン、プラグイン値は最新位置を即座に扱い、古い命令を後から追わせません。プラグインのロードや設定変更は、選択、確定、状態確認を保ちます。安定したチャンネル識別、タッチ保護、再接続、操作範囲が対象と境界を守ります。

技術を増やす目的は、画面を複雑に見せることではありません。ブリッジの存在を忘れ、音だけに集中できるようにするためです。

DOWNLOAD / v1.0.0

三つの v1.0.0 を公開しました

各アプリは独立してインストール・実行できます。コントローラーと使い方に合うものを選んでください。

Windows Fader Bridge for EUCON — v1.0.0

Windows Audio · Avid EUCON

Windows Fader Bridge for EUCON

Avid S3、Avid Control などから Windows のメイン音量、入力機器、アプリごとの音量を操作します。

ダウンロードとガイド
Windows Fader Bridge for Mackie Control — v1.0.0

Windows Audio · MCU / MIDI

Windows Fader Bridge for Mackie Control

MCU モードのコントローラーで Windows オーディオを操作し、Windows、メディア、ウィンドウの機能をボタンへ割り当てられます。

ダウンロードとガイド
UAD Console Bridge for EUCON — v1.0.0

Apollo / UAD Console · Avid EUCON

UAD Console Bridge for EUCON

Apollo DSP のミックス、プリアンプ、プラグイン、コントロールルームを EUCON サーフェスから実単位とリアルタイムフィードバックで操作します。

ダウンロードとガイド

OPEN SOURCE / MPL 2.0

実装をさらに知りたい方へ

一般向けのインストールと操作方法は各リリースページにまとめています。アーキテクチャ、プロトコル調査、検証記録、ソースコードは MPL 2.0 のオープンソースリポジトリで公開しています。

ソースコードと技術記録を見る

NEXT / MACKIE CONTROL

次へ:UAD Console Bridge for Mackie Control

次は UAD の Mackie Control 版を開発し、より多くの MIDI コントローラーからこのワークフローを使えるようにします。

EUCON 版の通信部分だけを置き換える仕事ではありません。MCU 機器はボタン、画面、ノブ、拡張機能の差が大きく、プロトコルの意味も UAD Console と完全には一致しません。共通機能、機器プロファイル、無理のないフォールバックを一つずつ決める必要があるため、もう少し時間が必要です。

私が継続して実機検証できる機器は限られ、現在の環境は EUCON に大きく寄っています。世の中には、対応する価値のある優れたコントローラーがまだ数多くあります。特定機器やプロトコルに詳しい方、実機検証に協力できる方は、開発への参加、検証記録、具体的な要望をぜひお寄せください。オープンソースにする理由の一つは、一人の所有機器だけで対応範囲を決めないためです。

目標は同じです。見栄えのよいデモではなく、日々の作業に本当に置ける道具をつくります。

音の操作を、もう一度「動作」にする

今回の公開は、三つのインストーラーを並べるだけの出来事ではありません。長く感じていた不便を手元で使える道具へ変え、UAD を実機で操作したいという個人的な夢を、誰かと共有できる形にしました。

画面の中で音量スライダーを探したことがある方も、UAD Console を物理サーフェスへ出したいと願ってきた方も、ぜひ手で確かめてみてください。

WYSIWYG は画面だけの約束ではない。音にとっては、聴こえ、触れられる確かさであるべきです。

千弦 / Chizuru